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【スパロボY参戦作品紹介】New Story of Aura Battler DUNBINE:長らく機体だけが参戦し続けていたOVA版『ダンバイン』。『第4次』でのサーバインの入手条件がノーヒントすぎた思い出【スーパーロボット大戦Y】

文:米澤崇史

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 『スーパーロボット大戦Y(スパロボY)』に参戦する作品を紹介。連載第8回は『New Story of Aura Battler DUNBINE』(OVA版ダンバイン)について語ります。

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 2025年8月28日にバンダイナムコエンターテインメントから発売予定の、シミュレーションRPG『スーパーロボット大戦』シリーズ最新作となる『スーパーロボット大戦Y』。機体のみのものも含め、21作品が本作に参戦します。


 『スーパーロボット大戦30』から数えると(間にDLCや追加ストーリーはありましたが)、4年弱ぶりのコンシューマ向け『スパロボ』ということで、久しぶりにワクワクしているシリーズファンも多いのではないでしょうか(もちろん筆者もその一人)。

 『スパロボ』でまったく知らない作品に触れる……というのも、勿論立派な楽しみ方の一つではあるんですが、ある程度作品の知識があったり、原作を見たことがあれば、「こんなクロスオーバーを仕込んできたか」みたいな感動を得られたりするのも、『スパロボ』ならではの魅力。

 そこでこの連載では、『スパロボY』に向けての予習・復習を兼ねて、参戦作品についての大まかなあらすじや、『スパロボY』での注目ポイントを紹介していきます。

 なお、核心に触れるようなものは避けますが、ある程度の作品のネタバレを含む内容となっているので、未視聴の場合はご注意ください。

『New Story of Aura Battler DUNBINE』とは【スパロボY参戦作品紹介】


 『New Story of Aura Battler DUNBINE』は、『聖戦士ダンバイン』シリーズのOVAとして制作されたアニメ。

 単体の作品として発売されたわけではなく、1988年に発売された全3巻『聖戦士ダンバイン』の総集編ビデオシリーズの特典映像として収録された、特殊な位置づけの作品です。

 舞台となるのは、『ダンバイン』本編から700年後の“バイストン・ウェル”で、本編のキャラクターはほぼ登場しません。

 代わりに、主人公のシオン・ザバはショウ・ザマ、“秘宝”を守護するバランバランの一族の姫であるレムル・ジルフィードはリムル・ルフト、バイストン・ウェルの征服を目論むラバーンはバーン・バニングスと、登場人物の多くが本編中のキャラクターの転生体という設定になっています。


 物語は、狩人として暮らすシオンがバランバランの村を訪れていた際、秘宝を狙う黒騎士ラバーンが率いる部隊の襲撃に巻き込まれる形でスタートします。

 抵抗虚しく村は制圧され、捕虜となってしまったシオン。シオンが高いオーラ力を持っていることに気づいたラバーンは仲間に誘い入れようするものの、シオンはこれを拒否します。

 シオンはその後、かつて森の中で助けた妖精であるシルキー・マウに力を借り、同じく捕らわれの身となっていたレムルと共に脱出。

 バランバランの秘宝の正体が“サーバイン”と呼ばれるオーラバトラーであることを知り、シオンはサーバインの搭乗者としてラバーンが率いる軍勢に立ち向かっていくことになります。

 全3話のOVAということで様々な国や勢力が入り乱れる群像劇の側面が強い『ダンバイン』本編とは異なり、シオンやレムル、ラバーンに焦点を置いた比較的ミクロなストーリーが展開されるのが特徴。

 ロボットのアクションとしてはちょっと動きが物足りない面はあるのですが、生物的な面が強調されたオーラバトラーのビジュアルは必見です。

 元々オーラバトラーはバイストン・ウェルにいる生物の甲殻を装甲材に使っているという設定があり、本作ではそのイメージをより強めたようなデザインで作画されています(かなりの生々しさがあります)。

 とくにサーバインはダンバインを正統進化させたようなデザインラインなのもあってメチャクチャにカッコよく、ファンからの人気が高いオーラバトラーになっています。

『スパロボ』シリーズではずっとショウの愛機になっていたサーバイン【スパロボY参戦作品紹介】


 『スパロボ』シリーズにおいては、かなり特殊な参戦経緯を経ている作品でもあります。

 正式に本作が参戦したのはワンダースワンカラー・スワンクリスタル用ソフト『スーパーロボット大戦COMPACT3』(2003年)が初なのですが、『ダンバイン』の2度目の参戦であるSFC用ソフト『第4次スーパーロボット大戦』(1995年)にて、サーバインとズワウスのみが隠しユニットとして登場しています。

 この“『ダンバイン』の隠しユニットとしてサーバインが登場する”というのは『スパロボ』では一種の定番になっていて、『ダンバイン』が参戦した作品では結構な割合でサーバインも登場しています。

 その場合、ショウをビルバインに乗せるのかサーバインに乗せるのかという究極の二択に頭を悩ませることに……。

 基本性能や攻撃力ではサーバインが上なものの、汎用性ではオーラ・キャノンやオーラ・ソードライフルなど反撃時に便利な射撃武器をもつビルバインが上……というそれぞれ一長一短な調整がされていることが多く、「ショウが二人いてくれればいいのに……」といつも思っていました。

 そのあたりの状況が変わったのが『スーパーロボット大戦T』(2019年)で、『COMPACT3』ぶりにシオンも登場し、『スーパーロボット大戦DD』そして『スパロボY』と、以降はサーバインだけではなくシオンもしっかりと参戦するケースが増えてきています。

 ビルバインに乗せる場合、サーバインを使いたくても使えない……といったことが起こり得たので、ショウに近い能力を持っているシオンが加入してくれるようになったのはありがたかったですね。

今でも座標を当てられるくらい印象深い『第4次』でのサーバインの入手条件【スパロボY参戦作品紹介】


 あとは個人的な思い出としては、初めて登場した『第4次』での入手条件のノーヒントっぷりも印象深いです。

 『第4次』でのサーバイン(&ズワウス)は、“大将軍ガルーダの悲劇”という『超電磁ロボ コン・バトラーV』の再現マップで、ショウをマップの西端の特定のポイントに移動させる……というのが入手の条件でした。

 かなりシンプルではあるものの、該当マップで主に敵が出現するのは反対の東側。

 間は水中で隔てられてもいるので、普通にプレイしていたら絶対にいくことはない地点であり、その上ポイントの見た目も何の変哲のない普通の山地マスなので、攻略情報を知らずに入手するのはほぼ不可能に近いんじゃないかと思います。

 自分も普通にプレイしている時は当然のように取り逃し、攻略本を買って後に再プレイした時にようやく入手できました。

 今までプレイしてきた『スパロボ』の中でも、1、2位を争うくらい印象的な隠し条件だったのもあって、今でも該当マップのステージを見たら、だいたいこのマスにあると言い当てられる自信があるくらい鮮明に記憶に残っていますね。

 入手条件がわかりづらい分機体性能は高く、まだオーラバトラーの装甲が厚い時代だったのもあり、ショウ以外を乗せた場合でも終盤までしっかり活躍してくれました(射程が1しかないのがネックではありましたが……)。

 『New Story of Aura Battler DUNBINE』自体に話を戻すと、『スパロボY』で楽しみなのは、前世である『ダンバイン』のキャラクターとの絡みでしょうか。

 『スパロボT』ではシオンとショウやマーベルとの会話はあったんですが、『ダンバイン』の最終話後の状態でスタートしていたので、限られたキャラクターしか登場していませんでした。


 今回はPVからシーラ・ラパーナの登場が確定しているので、『ダンバイン』の本編ストーリーにシオンたちが絡む可能性があり、レムルとリムル、ベラーナとガラリアといった、ショウとシオン以外の前世のキャラクターとの共演も実現するかもしれません。

 あとは作品的な繋がりはないのですが、今回『コンバトラーV』が参戦していて、おそらく南原コネクションのステージも登場すると思うので、ショウを特定のポイントに移動させたら、『第4次』のサーバインとズワウスの入手イベントを思わせる小ネタみたいなのが出たりしないかなと、ちょっと期待したりもしています。

『スパロボY』参戦作品紹介バックナンバー(第5回~第7回)


米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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